レベルの高い修正主義者?

id:rnaさんの「歴史修正主義の手口について」
http://d.hatena.ne.jp/rna/20080104/p1
はとてもいい記事。


id:fromdusktildawnさんの場合は多分これだろう。で、こういう人をきちんと批判しておくというのは「政治的」にはとても大事。その意味で今回参加されているid:Apemanさんとかには本当に頭が下がる。こういうことにきちんと対処することでネット上で、安易に修正主義的見解を表明すると冷ややかな目で見られるという流れが出来る。


ちなみに僕も最初、南京事件否定論については過大評価していた。これほど激しく通説を批判する(部分的な間違いどころかフィクションだ!)ということはそれなりに根拠があるのではないかと。だから「論争が過熱している」という印象を観客に持ってもらいさえすれば、真実は分からない→あやふやなことで反省する必要は無いという流れに持っていけるという意味で修正主義者の思惑通りなのだ。


しかし実際南京事件の概説書を読んでみて、その上で否定論と肯定論の論争を眺めてみた時に否定論がお話にならないことが分かり正直びっくりした。否定論者は彼ら自身こんな筋立てでまともに議論できると本当に思っているのか信じられなかった。しかも否定論者の大半はどのようにして南京事件の立証が行われてきたか、そういった経緯も全く知らないのだ(代表的論者である笠原氏や秦氏の著作を読んだと思しき人すらほとんどいない)。


「相手(通説)がどのような議論をしているか知らずに相手(通説)に反論できるわけがない」・「反論があるということは根本的な部分で曖昧な論点があるはずだ」…普通はそう考えるだろう(だって論争する上では常識だもの)。だが否定論はそのようなものではない。id:fromdusktildawnさんも信じられなかったみたいだが

http://fromdusktildawn.g.hatena.ne.jp/fromdusktildawn/20080104/1199446715

思い込みと無茶苦茶な史料解釈によって都合のいいストーリー・「とうていあり得ないファンタジーを主張」しているだけなのだ。しかも「自信満々に」。まったくどういう神経をしているのかそんなことは知らない。でもなぜか彼らは「自信満々」なのだ。その自信満々の姿勢に全くの門外漢は「まともに論争が行われている」と勘違いしてしまう。それが修正主義がなかなか消えない原因の一つだ。


それからapeman氏やid:bluefox014氏の論述に否定論者から何の応答もないことも今回の論争においては興味深かった。彼らのEntryにリンクするブログで否定論者によるものはほとんど無い。議論の発端となったはしげた氏の議論にきちんと反論を加えられる否定論者もいなかった。新たに反否定論者にとって致命的な議論を展開させる者もいなかった。南京事件FAQに決定的な批判がないのと同様に。


繰り返すが衆人環視のもとで議論してしまえば否定論は馬脚を現すだろう。fromdusktildawnさんがびっくりしたように、観客はそのレベルの低さに驚くしか無いだろう。「いや、もっとほかにまともな否定論者はいるだろう」とそれでも好意的に解釈する観客も中にはいるかもしれないが、それはひいきの引き倒しというものだ。彼らは限られた空間の中で、予備知識の無い門外漢にデタラメをささやいて勧誘するくらいしか出来ず、現にそのようにして生き延びているだけなのだ。